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小説版 へんないきもの 

2008, 07. 03 (Thu) 12:34

皆様こにゃにゃちわ。 冒険の旅から帰ってきて200キロカロリーほど消費できた月夜ノ蝙蝠丸です。
いや~、モンスターにも出会えずに経験値も稼げませんでしたけど、とりあえず晩御飯のお買い物をして帰ってこられたので 「良し」 としましょう。うん、それ全然 『旅』 じゃない。


さて、読書カテゴリーにいながら本の話題を出さないこと2カ月余り。
そろそろ読書感想文などを提出しないとまずいかもしれないので、おっかなびっくり先日読み終わった本をご紹介させていただきます。


ずいぶんと前のことですが、不思議な生き物の生態を、軽妙な語り口で列挙して見せた 『へんないきもの』 (早川いくを 著)という本が人気を呼びましたね。
一ページにひとつ、変わった生き物を紹介していくというパターンでした。挿絵も一ページ使ってドーン!と付けてくれます。つまり、見開きが丸々ひとつの生き物紹介です。
深海魚や昆虫、寄生虫などの、どうしてこんな進化をしちゃったの?という生き物ばかり。
わたくし、この本の大ファンで、続編の 『またまた へんないきもの』 も大好きでございます。

その作者さん、早川いくをさんが、なんと小説まで書いちゃいました。





へんないきもの三千里へんないきもの三千里
(2007/10/30)
早川いくを

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【あらすじ】
主人公の芦屋ユカリは小学六年生の女の子。父親がリゾート開発会社社長、母親が高級宝石店経営という、「セレブ」な家の子供である。ユカリは甘ったれで気の強い、お嬢様らしい性格。 同じクラスの男の子に恋をしていて、両想いになれるおまじないに躍起になっている。
そんなある日、片思いの彼にライバルが急接近! 
焦ったユカリは、古本屋でボロボロの和綴じ書を見つけ、『恋の秘術』 を試すことを決意する。その術とは、ガマガエルの分泌物を舐めることだった!
都合のいいことにユカリの兄は生き物マニアで、入手困難な生き物ばかり集めていた。その中に珍しいガマガエルもいる。ユカリは兄の部屋に忍び込み、禁断のおまじないを遂行した。
生き物が大嫌いのユカリは失神し、気がついた時には、異様な世界にたどり着いていた。
いつの間にか虫のような大きさに縮んでいて、毒グモやら大きい顎を持つアリだのに囲まれていたのだ。
ユカリの長い旅が始まる……



あらすじを書くと子供向ファンタジーみたいですが、本作は純然たる 「大人が楽しむエンターテイメント」 であります。
作者の早川さんは非常に言葉の使い方が巧みで、物語のテンポと言い、セリフの面白さと言い、そしてスカしたキャラクター達といい、もう本当に拍手を送りたいくらいの作品なんです。
しかも出てくる生き物がみんな、環境に適応した不思議な生態をしています。前作 『へんないきもの』 を踏襲した小説、という作りになっているのですね。

延々と続くユカリの苦難……そして、随所にあふれる 「へんないきもの」 の解説。
こういった作品にありがちな 「環境が壊れたらサンゴはみんな死んじゃう」 といった環境問題も盛り込んでいますけど、決して嫌味ではなくてほのぼのと展開されています。
私が一番、早川さんエライ!と思ったのは、生き物が生き物を食べるということを、しっかりと書いているところです。
プランクトンは小エビに食べられ、小エビは魚に食べられ、魚は海獣に、そして海獣もいつかは小魚やプランクトンのえさとなる……
食物連鎖の観点って、つい見落とされがちだと思うんですけど、生態系ってそうやって維持しているんですよね。環境保護もクジラの種が少ない、多いではなくて、餌となる魚の量とか水質とか、回遊の危険度(船による衝突事故)など……色々な要素も一緒に考える必要がありますよね。温暖化もしかり。

話が大きく外れましたけど、本作品は 「蝙蝠丸・絶対にオススメ度MAX」 という最高点をつけさせていただきます。

今世紀最大の 「怪書」 です。皆さん、どうぞ読んでみてください!

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